研究概要

 我々の研究室では、精密材料設計に基づく新材料の創成を目標に、精力的に研究しています。 研究の流れとしては、一次構造が精密に制御された高分子を重合制御と反応解析の観点から設計し、その高分子が形成する高次構造について詳細に解析することで、機能化へと繋げていきます。 高分子の合成と物性評価、機能化を一貫して行うことで、新規ソフトマテリアルの創成・応用を目指しています。

 リビングラジカル重合法に代表される精密重合法の利用により、鎖長や末端官能基、共重合様式が制御された高分子が合成可能です。 また、最近はトポロジー(分岐)が制御された高分子(スター型やハイパーブランチ型、ボトルブラシ型など)も合成されるようになりました。

 我々は、リビングラジカル重合を材料表面からの重合に適用することにより、ブラシ構造の精密制御と高密度化が達成された 「濃厚ブラシ系」を世界で初めて実現し、多様な材料表面への適用手法を確立することに成功しました。 その構造特性においては、濃厚ポリマーブラシ中の柔軟な高分子鎖が良溶媒中で伸び切り鎖長に匹敵するほど高度に伸長配向するという驚くべき事実を発見しました。 さらに、多くの新規な物性(大きな圧縮抵抗、超摩擦特性、明確なサイズ排除効果、生体適合性、優れた機械的特性など)を見出し、 濃厚ポリマーブラシが独自で、全く新しい性質・機能をもつ表面であることを実証しました。 濃厚ポリマーブラシの合成・物性科学的体系化は、次世代の分離技術やバイオインターフェースの創成など、機能・応用面で広範な材料科学分野の新局面を拓くシーズを提供しうると期待されます。

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